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福利厚生で健康支援が重要視される理由や制度と施策例を解説

経営課題事例

2022-11-21

「福利厚生と健康」とテーマに、福利厚生で健康が重要視される理由や、健康支援・健康増進を目的とした福利厚生制度や施策の例について、経営者向けに解説します。

目次

福利厚生の一環として、従業員の健康支援や健康増進を行う企業は少なくありません。

健康に関する福利厚生は、法律で提供義務が定められている「法定福利厚生」と、法定福利厚生だけでは足りない部分を企業がそれぞれ必要可否などを判断して提供する「法定外福利厚生」で分れます。

福利厚生で従業員の健康を保つ施策や制度を導入したい経営者は、ぜひ最後までご覧ください。

1.健康の福利厚生制度が企業の事業基盤をつくる

従業員に働いてもらうには「従業員自身が健康であること」が前提条件であるため、健康についての福利厚生制度が企業の事業基盤をつくるといっても過言ではありません。

従業員の健康に関連する福利厚生には、法律で企業からの提供義務が定められた法定福利厚生もありますが、それらを上回る健康支援や健康増進の福利厚生を提供するケースが見られます。

例えば、従業員の健康を支援する福利厚生の主な例としては、人間ドック奨励や産業医の常駐、業務とは直接関係しない疾病や怪我を対象にした「病気休暇」や「病気休業」などの治療と仕事の両立支援が挙げられます。

不調になったときに頼れる福利厚生だけでなく、「働きやすさ」をつくる福利厚生制度も重要です。

例えば、有給休暇だけでなく特別休暇を付与して休養を奨励し、在宅勤務や短時間勤務制度などで生活と仕事の両立を支援することで日頃から働きやすくすることも、長期的な視点では従業員の健康を支えます。

従業員の健康を増進させる福利厚生の主な例としては、従業員の運動不足を解消させるジム優待や費用補助、社食の提供や昼食代の費用補助などのランチのサポート、リフレッシュ特別休暇(長期勤続休暇)やマッサージなどによる休養の奨励が挙げられます。

レジャー施設の優待や、ワーケーションによる旅行の奨励、ブレジャー制度による余暇活動の奨励についても、一見、健康と直接的に関係ないように思われますが、「病は気から」という言葉のとおり、心の不調が体に影響して健康をすることもあるため、忘れてはいけない観点です。

2.どの企業にもある健康に関連する福利厚生

どの企業にも見られる健康に関連する法定福利厚生には、次の例があります。

  • 健康診断:福利厚生にないと違法
  • ストレスチェック:常時50人以上の従業員がいれば実施
  • 法定休暇:年次有給休暇や生理休暇など
  • 法定休業:産休や育休、介護休業など
  • 健康保険:従業員の怪我や病気、死亡時の保険給付
  • 労災保険:業務上の怪我や病気、死亡時の損害補償

なお、これらの法定福利厚生にかかる費用は事業利益から出しますが、結果的に法人税の節税になるよう、法定福利費として経費計上するのが一般的です。

節税など一般的な福利厚生のメリットについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生のメリットとデメリットを経営者の視点で解説

健康診断:福利厚生にないと違法

従業員の身体の健康状態を調べる「健康診断」を行うのは企業の法的義務であるため、福利厚生として必ずあります。
参照:労働安全衛生法 第六十六条(健康診断)|e-Gov

企業が行う健康診断には、従業員の職種や業務などを問わずに実施義務のある「一般健康診断」の他、健康を害するリスクのある特定の業務を担当する従業員に対して行う「特殊健康診断」や「じん肺健診」、「歯科健診」など業務の種類ごとに時期や内容を細かく指定されています。

なお、一般健康診断の中にも種類があり、雇入れのタイミングでの健康診断と、年1回の定期健康診断など、法令上は別物の健診として検査項目がそれぞれ指定されています。

業種によっては実施すべき健康診断に不足がないか、経営者は管轄の都道府県労働局・労働基準監督署に確認する必要があります。

また、健診結果で健康上の懸念があれば、従業員への通知、医師による保健指導のフォロー、それらの一連の結果について所轄の労働基準監督へ報告するまでの取組みが、企業姿勢として求められます。
参照:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう ~労働者の健康確保のために~|厚生労働省

なお、どの健康診断も事業者負担で実施します。
参照:健康診断Q&A|厚生労働省

なお、健康診断の対象は「1年以上勤務予定の者(特定業務に従事するケースは6カ月以上)」かつ「通常の従業員の労働時間の4分の3以上勤務する者」です。

例えば、条件を下回る短時間勤務者や、有期雇用労働者は「受けさせた方が望ましい」とされ、法令上は必須と明記はされませんが、労働条件によって福利厚生の不合理な待遇差がある場合、是正の対象となり、待遇差の説明を求められた時に説明する義務もあるため、よく検討する必要があります。
参照:不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル~パートタイム・有期雇用労働法の対応~(業界共通編)|厚生労働省

なお、社員の種類による福利厚生の待遇差については次のコンテンツで詳しく解説しています。
正社員の福利厚生と待遇差がある従業員がいるときに必要な対応とは?

ストレスチェック:常時50人以上の従業員がいれば実施

健康診断が身体の健康をチェックするのに対し、従業員が精神の健康をチェックするのが「ストレスチェック」で、常時50人以上の従業員がいる事業所は1年以内ごとに1回、定期的に実施する義務があります。
参照:労働安全衛生法第六十六条の十(心理的な負担の程度を把握するための検査等)|e-Gov

ストレスチェックには従業員に調査票を配付・記入させますが、紙形式またはオンライン形式で行われます。
参照:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

無償提供のオンライン調査票としては「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」があるなど、厚生労働省の情報発信を参考にできます。
参照:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」:ストレスチェック制度について|厚生労働省

従業員のメンタルヘルスケア(精神衛生)については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生でメンタルヘルスケアできる?基本から施策や制度例まで解説

法定休暇:年次有給休暇や生理休暇など

法定福利厚生として従業員に与えるように法令で定められた休暇は、法定休暇と呼びます。

労働基準法|e-Gov」の法定休暇としては、労働日数などで付与日数が決まる「年次有給休暇」や、女性従業員に許可する「生理休暇」が挙げられます。

他にも、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)|e-Gov」で、従業員の生活と仕事の両立支援を目的とした法定休暇として「子どもの看護休暇」や「介護休暇」が定められています。

法定休業:産休や育休、介護休業など

従業員にまとまった期間の休業を許可するのも法定福利厚生で、法令で定められた休業は「法定休業」と呼びます。

なお、休暇と休業は「休暇は1日単位」、「休業は週や月単位」という点で異なります。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)|e-Gov」で、子を出産する女性従業員に許可する「産前休業と産後休業(産休)」や、子が1歳になるまで取得を許可する「育児休業(育休)」、要介護(2週間以上、常時介護が必要)の家族がいる従業員に対して許可する「介護休業」が、法定休業として定められています。

特に男性の育休の取得を推進するために、企業に対し、育休の取得状況の公表義務付けを含め、育児休業の取得促進施策が段階的に行われています。
参照:育児・介護休業法について|厚生労働省

健康保険:従業員の怪我や病気、死亡時の保険給付

健康保険は「健康保険法|e-Gov」に基づいた法定福利厚生制度で、従業員本人とその扶養家族が加入します。

健康保険に加入していれば、業務とは関係しない要因による、加入者の怪我や病気、死亡などに対応して保険給付が行われます。

例えば、病院にかかった際、保険証を提示し、国が保険適用を認めた診療や薬の処方を受けた場合、自費で支払った分以外は保険給付でまかなわれます。

なお、業務上の怪我や病気、死亡については労災保険で扱うため、健康保険が重複して適用されることはありません。

健康保険の保険料は雇用する企業と従業員で費用負担するため、従業員の給与引去りで処理するのが一般的です。

パートやアルバイトなどの従業員の場合、条件や状況によっては、従業員の保護者や配偶者の扶養に入り、雇用側の費用負担がないケースも見られます。

健康保険は企業によって加入先が異なり、大企業なら「健康保険組合」を設立して加入し、中小企業なら「協会けんぽ(全国健康保険協会)」を利用する傾向があります。

ちなみに、企業に勤める従業員が加入する「健康保険(健保)」と、退職者や個人事業主など従業員ではない方が加入する「国民健康保険(国保)」は全くの別物なので、混同しないよう注意しましょう。

労災保険:業務上の怪我や病気、死亡時の損害補償

労働災害補償保険(労災保険)は「労働者災害補償保険法|e-Gov」に基づいた法定福利厚生です。

労災保険は、業務上または通勤時での従業員の病気や怪我などで働けなくなった事態・死亡事故に対して、従業員とその家族へ損害補償が行われます。

なお、労災保険の損害補償を受けるには労災(労働災害)として認定される必要があり、業務上または通勤時での病気や怪我、死亡が必ず、労災保険の対象になるわけではありません。

労災がおりない例

  • 業務中、従業員自身が故意に労働災害を起こして怪我した場合
  • 業務中、従業員が服務規定に違反して事故にあった場合
  • 業務中や通勤中、台風や地震などの自然災害によって事故にあった場合
  • 通勤途中、通行人と喧嘩して怪我した場合
  • 通勤ルートから遠く離れて事故にあった場合

労災保険の加入対象は全従業員で、アルバイトやパートなどの雇用形態や労働時間などの勤務条件は関係しません。
参照:労災補償|厚生労働省

ただし、ボランティアや短期インターンなど、賃金が支払われないまま、事業に従事するケースは労災の対象外となるため、別途、保険を用意する必要があります。

福利厚生なしのケースについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生なしの会社はない?最低限必要な福利厚生を解説

3.健康支援の福利厚生制度と施策例

続いては法定外福利厚生として、健康に不安のある従業員をサポートする「健康支援」の制度と施策例をご紹介します。

  • 人間ドック奨励
  • 医療費補助
  • 健康相談できる医務室やカウンセリング窓口の提供
  • 治療と仕事の両立支援:病気休暇や病気休職など
  • 生活と仕事の両立支援:在宅勤務や短時間勤務など

こちらの「健康支援」の法定外福利厚生は、制度や施策が「従業員に均等な待遇を与えており、金額や条件が社会通念上相当に当たる」と判断されれば、福利厚生費として計上できます。

人間ドック奨励

「人間ドック」は受診者が個人の判断で受ける健康診断サービスの一種で、船が定期的に修理や点検のために「ドック(船渠)」に入る様になぞらえた呼称です。

人間ドックは法定福利厚生の定期健康診断だけでは足りない検査項目をカバーできるため、定期的に受けることで、隠れた病気の発見や進行を未然に防ぐ効果が期待されます。

なお、人間ドックのサービスを提供する医療機関によっても検査内容が異なり、基本検査項目に任意の検査項目を増やすほど、費用が高額になる傾向があります。

人間ドックを企業の福利厚生制度として用意する場合、5年や10年など年齢に合わせた節目に定期健康診断に置き換えるケースや、従業員が希望して受診した人間ドックの費用補助を行うケースが見られます。

人間ドック奨励は、本記事の冒頭でもご紹介した厚生労働省「労働白書」の中の従業員側に求められる福利厚生で一位になるほど、需要があります。
参照:令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文) 全体版 図表1-3-35|厚生労働省

その背景には、人間ドックは法令で定義されていないために保険適用外であること、病気や怪我の治療ではないために費用を医療費控除にはできないことから、従業員が個人で受診するには費用負担が大きい事情があります。
参照:人間ドックの費用負担:給与の課税について|国税庁
   人間ドックの費用:医療費控除について|国税庁
   No.1122 医療費控除の対象となる医療費|国税庁

医療費補助

福利厚生の医療費補助には、マッサージなどの保険適用外の健康サポートサービスを利用した場合に費用補助を行うケースや、福利厚生のアウトソーシングサービスにおけるカフェテリアプラン内の健康サポートメニューを利用するケースが見られます。

保険適用の治療で医療機関にかかる場合、法定福利厚生の健康保険による保険給付が対象になるため、法定外福利厚生として医療費補助を行うなら、人間ドックやマッサージなど保険適用外の健康サポートサービスを対象とします。

なお、福利厚生のマッサージについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生でマッサージを導入するには?経費や契約について解説

カフェテリアプランなどの福利厚生の代行(アウトソーシング)については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生のアウトソーシングとは?市場規模と種類とメリットを解説

健康相談できる医務室やカウンセリング窓口の提供

企業のオフィスや事業所内に産業医と相談できる医務室やカウンセリング窓口を設置するのも、健康支援の福利厚生として有効です。

従業員が医療機関にかかるには、一般的には有給休暇などを取得して通院しなければなりませんが、オフィスや事業所内で健康相談ができるのであれば、利便性は高くなります。

健康相談できる医務室やカウンセリング窓口を福利厚生として提供するなら、産業医の常駐あるいは定期的な訪問を依頼し、従業員が健康上の相談を行えるようにするのが一般的です。

なお、新しい生活様式を鑑み、オンラインカウンセリングなど、対面でない相談窓口を設けるケースも出てきています。

なお、月100時間を超えるなど、法定基準以上に残業している従業員に対して、企業は医師の面談指導を受けさせる法的義務がありますが、「医師の面談指導」は産業医の面談で対応できます。
参照:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

また、病気休養中の従業員がいる場合は、健康上の経過や、職場環境、仕事量を把握するため、産業医などの医療スタッフとの情報連携が必要になります。
参照:職場におけるメンタルヘルス対策について:p.5 メンタルヘルス対策の体系とストレスチェック|厚生労働省

治療と仕事の両立支援:病気休暇や病気休職など

業務と因果関係のある病気に対しては「労災」として法定福利厚生でカバーされますが、業務とは直接関係しない病気については企業の判断で法定外福利厚生を用意する必要があります。

業務と関係なく、従業員が病気や怪我などで働けなくなった際に付与する「病気休暇」や「病気休職」などは、治療と仕事の両立支援の代表的な福利厚生制度です。

なお、病気休暇や病気休職は、本記事の冒頭でもご紹介した厚生労働省「労働白書」の中の従業員側に求められる福利厚生で、それぞれ四位と五位になるほど、需要があります。
参照:令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文) 全体版 図表1-3-35|厚生労働省

病気休業で給与が払われない間、従業員とその家族の生活を保障する「傷病手当金」などの福利厚生制度とセットで設計する必要があります。

また、病気休業明けの復職者を対象に、勤務の時間や日数を短縮し、少しずつ慣らして就労できるようにする「リハビリ勤務制度(試し勤務制度)」を用意するのも、治療と仕事の両立支援として有効です。
参照:事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(全体版)令和4年3月改訂版|4 両立支援を行うための環境整備p.8|厚生労働省

生活と仕事の両立支援:在宅勤務や短時間勤務など

直接的な健康支援には当たりませんが、従業員の自宅で勤務できる「在宅勤務制度」や、通常の労働時間よりも短い時間での勤務ができる「短時間勤務制度」など、働き方の選択肢を与える福利厚生制度は生活と仕事の両立支援策として有効です。

例えば、在宅勤務制度があれば、病気休暇明けに、いきなり職場復帰をするのは難しくとも、在宅でなら勤務できるケースで有効です。

同じように、短時間勤務も、病気休業から明けて、いきなりフルタイム勤務は難しくとも、短時間勤務からなら対応できるケースで有効と言えます。

他にも、次のような生活と仕事の両立支援する福利厚生制度は、健康支援に活用できます。

福利厚生制度の例

健康支援での活用例

  • 働く場所を自由に任意選択し、他拠点やシェアオフィスなどでオンライン勤務できる「リモートワーク制度」や「テレワーク制度」
  • 通院している医療機関の近くの拠点やシェアオフィスからリモートワークする
  • 勤務開始時間を任意に決められる「フレックス勤務制度」
  • 勤務時間の指定や制限がない「スーパーフレックス勤務制度」
  • 休暇を取得しなくとも、午前中に通院して午後出社する
  • 午後から早めに退社して通院する
  • 出社時間をずらせる「時差出勤制度」
  • 通勤時の混雑を避け、体調悪化のリスクを低減する

4.心身の不調を予防する健康増進の福利厚生制度と施策例

従業員の健康状態への不安に対するサポートとして「健康支援」につながる福利厚生をおさえたら、続いて日常的に健康的な心身を作るようにサポートする「健康増進」の福利厚生制度と施策例をご紹介します。

心身の健康保持やメンタルヘルス不調予防のためにも、運動と食事に気をつけてストレス発散することが大切です。

  • 従業員の運動不足解消:ジム優待や費用補助など
  • ランチサポート:社食や昼食代の費用補助など
  • 休養と余暇活動の奨励:リフレッシュ特別休暇やブレジャー制度など

こちらの「健康増進」の福利厚生は法定外福利厚生であるため、健康支援のケースと同じく、制度や施策が「従業員に均等な待遇を与えており、金額や条件が社会通念上相当に当たる」と認められれば、福利厚生費として計上できます。

従業員の運動不足解消:ジム優待や費用補助など

デスクワークの従業員が多い場合、運動不足解消にスポーツジム・クラブ優待や費用補助を行う福利厚生制度は健康増進につながります。

従業員の労働環境を整える目的で、スポーツジム機材を職場に併設するケースも見られます。

また、従業員が働く席を指定しない「フリーアドレス制度」を活用し、適宜、移動を促すことで従業員の座りっぱなしでの勤務を防ぐのも、一定の健康増進効果が期待できます。

他にも、普段、運動習慣のない従業員向けに、部署別に期間内の歩数の合計値を競わせるなどのスポーツイベントなども有効です。

また、在宅勤務の多い者に対しては、オンラインのスポーツセミナーや毎日の体操の奨励など、通勤のあるオフィス勤務者以上に運動不足解消を奨励します。

ランチサポート:社食や昼食代の費用補助など

社員食堂(社食)での健康的な食事の提供や、質の良い食事を摂るために昼食代の費用補助などのランチサポートも、一定の健康増進効果が見込めます。

職場の施設の制約で食堂を設置できなくとも、社食としての弁当配送サービスや、いつものランチに一品足すような補助的な社食サービスもあるため、企業の事情にあったランチサポートを選択できます。

なお、ランチサポートの場合、福利厚生費として経費に計上するには「食事の支給」と認められる必要があり、当てはまらない場合には経費にできなくなるため、福利厚生制度の設計の際に注意が必要です。
参照:No.2594 食事を支給したとき|国税庁

福利厚生のランチサポートについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生でランチをサポートするなら?食事支給と費用補助を解説

休養と余暇活動の奨励:リフレッシュ特別休暇やブレジャー制度など

長年勤めた者に10年などの節目に長めの休暇を付与する「リフレッシュ特別休暇(長期勤続休暇)」や、出張などの業務上の遠出を活用して余暇を楽しむ「ブレジャー制度」などで、休養と余暇活動の奨励を行うことは、心身のリフレッシュにつながり、健康増進効果が見込めます。

他にも、誕生日休暇やアニバーサリー休暇など企業独自の特別休暇制度や、休暇先で仕事と余暇を楽しむ「ワーケーション制度」、レジャー施設の優待や費用補助など、プライベートを充実させる福利厚生制度や施策が挙げられます。

注意したいのは、ブレジャー制度やワーケーション制度は比較的新しい福利厚生制度で、税処理のノウハウの蓄積がなく、制度設計する際に手探り状態に陥る可能性がある点です。

例えば、遠方で従業員が負傷した場合の労災の考え方、費用が課税対象になるかどうかの判断が、観光庁の特設ページで確認してもケースバイケースとわかります。
参照:「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー 労災や税務処理に関するQ&A:ブレジャー Q5|観光庁

なお、ブレジャー制度を含め、福利厚生とレジャーについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生のレジャーの位置付けはブレジャー制度で変わる?

(監修 株式会社SoLabo 田原 広一)

生22-5320,法人開拓戦略室

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