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福利厚生のレジャーの位置付けはブレジャー制度で変わる?

経営課題事例

2022-09-26

「福利厚生のレジャー」をテーマに、日本国内の福利厚生におけるレジャーの意味合い、「ブレジャー制度」がもたらす福利厚生の可能性について経営者向けに解説します。

目次

福利厚生における「レジャー」は、かつて企業独自の保養施設の提供やレジャー施設への優待が盛んに行われ、福利厚生の代名詞のように扱われている時代がありました。

しかし、今現在は福利厚生のトレンドが変わり、企業の特色として挙げるほどの注目度は集められないように見えます。

一方で、在宅勤務やリモートワークの浸透により外出機会が減少した時代背景と、出張機会を活用して観光などのレジャーを行う「ブレジャー制度」が登場したことで、福利厚生におけるレジャーの位置付けが大きく変わる可能性があります。

福利厚生におけるレジャーについて知り、従業員のニーズに応える福利厚生制度を用意することで、優秀な人材を確保しましょう。

1.福利厚生におけるレジャーとは?

本来、「レジャー」(leisure)とは、仕事以外の「余暇」や「自由時間」を指しますが、とりわけ日本国内においては「レジャーをする(=自宅から外出し、異動先で余暇を楽しむ)」というニュアンスを含む傾向があります。

また、レジャーと同じように「レクリエーション」や「アクティビティー」が使われます。

福利厚生における「レジャー」は、動物園や水族館、博物館・美術館、遊園地・テーマパーク、プール・スポーツアミューズメントパークなど「レジャー施設」で楽しむことを指す傾向が見られます。

なお、レジャーで必要な入場券や利用券などを「レジャーチケット」と呼びます。

実際に提供するレジャーの福利厚生としては、レジャーチケットの配付や入場料・利用料が割引になる優待チケットを配付する例が見られます。

かつては福利厚生のトレンドとして、有名レジャー施設への優待のほかに、独自に所有する保養施設を従業員に提供できる企業が注目されていました。

福利厚生のトレンドや変遷について知りたい方は次のコンテンツで詳しく解説しています。

福利厚生のトレンドは従業員個人の利益から企業を成長させる力へ

その他にも、福利厚生のレジャーと近い文脈で使われる言葉を解説します。

観光地での活動は「観光」と呼び、レジャーとは別のものとして区別する傾向が見られますが、観光中の移動手段として船や自転車、ロープウェイなどの特別な乗り物を利用する場合はレジャーとして扱う傾向が見られます。

また、ハイキングや登山、トレッキングなど行楽地での野外活動は「アウトドア」と呼びますが、「アウトドア・レジャー」のように併記する傾向が見られます。

映画や各種ショーの観劇、ボウリングやビリヤードなどのゲーム性が高い活動は「エンターテインメント」と呼び、これもレジャーと区別する傾向が見られます。

福利厚生のレジャーはアウトソーシングで導入しやすい

レジャー施設は多様化しているため、従業員のニーズを汲み上げるにも限界があります。

新たにレジャーの福利厚生を提供したい場合、企業独自に特定の保養施設やレジャー施設の優待チケットを用意する手配を行うより、従業員にポイント付与して多種のサービス中から利用したいチケットを選べる福利厚生のアウトソーシングサービスを利用すると導入と運用管理がしやすいです。

なお、福利厚生のアウトソーシング(代行)について知りたい方は次のコンテンツで詳しく解説しています。

福利厚生のアウトソーシングとは?市場規模と種類とメリットを解説

ただし、どの企業も福利厚生のアウトソーシングサービスを利用する傾向が出ると、福利厚生として用意されるレジャーが均一化するため、企業の独自色が出にくくなります。

一方、大企業は保養地や行楽地に「保養施設 兼 研修宿泊施設」を持ち、従業員の研修に使うだけでなく、従業員の私的旅行でも利用できるようにしている傾向があります。

従業員数の多い企業であれば、定期的に実施される研修の諸経費を考えると、地方で自前の施設を保持している方が安くあがる、という判断があると考えられます。

また、企業が「保養施設 兼 研修宿泊施設」にする場所には、創業者の出身地や、製造工場や重要拠点など思い入れがある場所を選ぶ傾向も見られ、施設を維持しつづけることが地方活性化やCSR(企業の社会的責任)活動になっている側面もあります。

レジャーの1日保険が提供される福利厚生もある

従業員が希望するレジャー施設を全てカバーするような福利厚生は提供しにくいものです。

どのレジャーにも使える福利厚生を用意したい場合、レジャー1日保険を用意することを検討しましょう。

福利厚生としてレジャー1日保険を用意する場合、団体割引で保険加入できるようにする傾向があります。

2.ブレジャー制度で福利厚生のレジャーの位置付けはどう変わる?

ここまで解説してきたとおり、福利厚生におけるレジャーは、どの企業も提供する内容は横並びで、それほど差がつかないものです。

また、厚生労働省の調査(*)を見ても、従業員側からの必要とされる上位10位に「レジャー」は挙げられていないため、人気の福利厚生とも言えない現状があります。

しかし、観光庁が推進する「ブレジャー制度」の登場と、新しい生活様式への自粛ストレスなどをあわせて考えると、福利厚生におけるレジャーの価値が見直される可能性があります。

出張先でレジャーを行う「ブレジャー制度」を導入し、従業員が積極的にレジャーを楽しみ、心身の健康を保てるような福利厚生を検討しましょう。

(*)参考:令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文)全体版 図表1-3-35|厚生労働省

人気の福利厚生について知りたい方は次のコンテンツで詳しく解説しています。

人気の福利厚生は健康で長く働くための費用補助や休暇制度

出張先でのレジャーが国に推奨されている

ブレジャー制度として、出張先でのレジャーが国に推奨されています。

観光庁で特設サイトが用意され、保養地などで働きながら休暇をとる「ワーケーション」とセットで「ブレジャー」が推進されています。

参照:「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー|観光庁

ここでブレジャーとワーケーションの定義をおさえましょう。

「ブレジャー」(Bleisure)は、仕事(Business)と余暇(Leisure)を組み合わせた造語です。出張や研修等の業務上必要な遠出の機会を活用し、余暇を楽しむことを指します。

ワーケーションは働く(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語で、保養地や行楽地などで働きながら余暇を楽しむことを指します。

私的旅行の中に仕事要素が入るワーケーションに比べると、ブレジャーの方には「業務都合での移動」が根底にあるため、福利厚生制度を整えた際、交通費や宿泊費などを経費でまかなうことによる実質的な費用補助につなげやすく、今後の福利厚生のトレンドを大きく変える可能性があると考えられます。

ただし、ブレジャーもワーケーションも、企業ごとに「業務」と「余暇」の定義を行いますが、業務外の余暇部分において、従業員が事件や事故にあった場合の補償がありません。

そのため、余暇部分で従業員に万一のことがあったときに補償が受けられるよう、ブレジャー・ワーケーションの利用の際に、前述の1日保険などのレジャー保険の福利厚生を併用するルールも検討しましょう。

業務上必要であれは交通費や宿泊費が課税対象にならない

ブレジャー制度は、出張や研修などで業務上必要な遠出を行うため、レジャーを除いて当初、必要とされた交通費や宿泊費については課税対象になりません。

出張後、私的旅行を行ってから帰宅するケースのブレジャーで、往復の交通費や宿泊費が課税対象にならない考え方(*)が示されており、ケースによっては福利厚生費として計上できます。

(*)参照:「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー 労災や税務処理に関するQ&A:ブレジャー Q5|観光庁

もちろん、完全にレジャーの部分にあたる移動・宿泊の費用は従業員負担ですが、高額になりがちな往復の交通費や宿泊費は、ブレジャー制度をうまく活用できれば実質、企業負担にできます。

例えば、大企業が維持している「保養施設 兼 研修宿泊施設」で、業務上必要な研修を行った後、ブレジャーを希望する者は現地解散にし、観光やレジャーを楽しむように推奨すると、独自色のある福利厚生になります。

中小企業でも、毎年ある展示会の対応など必ず発生する出張に対し、ブレジャー制度を用意して推奨するだけでも、特色のある福利厚生となります。

(執筆 株式会社SoLabo)
(監修 株式会社SoLabo 田原 広一)

生22-4186,法人開拓戦略室

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