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福利厚生のアウトソーシングとは?市場規模と種類とメリットを解説

経営課題事例

2022-07-22

「福利厚生のアウトソーシング」をテーマに、福利厚生の市場規模、種類、メリット・デメリットについて経営者向けに解説します。

目次

従業員満足度の高い福利厚生制度は優秀な人材の確保につながります。

給与水準が横並びで同程度なら、従業員への姿勢が現れる福利厚生で企業を選ぶのは不思議なことではありません。

福利厚生のアウトソーシングとして外部委託すれば、福利厚生用に自前の人員を割くことなく、本業に集中したまま、福利厚生を充実させられます。

福利厚生のアウトソーシングを検討中の経営者は参考にしてみてください。

1.福利厚生のアウトソーシングとは?

福利厚生は従業員が給与以外で得る利便性や利益であり、社会保険など法律で定められた「法定福利厚生」と、住居手当や社販、在宅勤務制度など企業の判断で提供する「法定外福利厚生」にわかれます。

福利厚生のアウトソーシングとは、一部の「法定外福利厚生」を外部委託し、提供することです。

なお、福利厚生に関係すれば「福利厚生のアウトソーシング」に当るわけではありません。例えば、社会保険や勤怠・人事など福利厚生に関連する総務業務については「総務のアウトソーシング」として扱われます。

なお、福利厚生の基本については次のコンテンツで詳しく解説しています。

福利厚生とは?定義やメリットを経営者向けにわかりやすく解説

*以降、本記事で「福利厚生」と表現した場合、法定外福利厚生を指します。

福利厚生のアウトソーシングサービスの市場規模

福利厚生のアウトソーシングサービスの市場規模は、2021年の統計調査から算出すると、3905億円規模だと推定されます(*)。

前年のパンデミックの影響か、2016年の前回調査結果での5015億円規模と比較すると、市場の縮小傾向が見られます。

*法定外福利厚生費用の月間平均(2021年) × 12カ月 × 労働者数(2021年)で、年間のアウトソーシングできる法定外福利厚生の市場規模をフェルミ推定で算出。
2021年:4,882(円)× 12(カ月)× 6667万(人)= 3,905,795,280,000
2016年:6,465(円)× 12(カ月)× 6465万(人)= 5,015,547,000,000

法定外福利厚生費用の月間平均の参照元:『令和3年就労条件総合調査 結果の概況』第19表「常用労働者1人1か月平均法定外福利費」|厚生労働省
労働者数の参照元:労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の要約|総務省

福利厚生のアウトソーシングサービスの種類

アウトソーシングで提供される福利厚生サービスの種類は、委託先によって異なります。

福利厚生のアウトソーシングサービスは、一種類の福利厚生の専門性を追求するもの(専門性特化型)と、幅広いラインアップで福利厚生の汎用性を追求するもの(汎用性重視型)にわかれます。

福利厚生のアウトソーシングの委託先別のサービス例

委託先の種類

アウトソーシングサービスの例

専門性特化型

・本格カフェサービス「ネスカフェアンバサダー」:ネスレ日本(株)

・置きお菓子サービス「オフィスグリコ」:江崎グリコ(株)

・置き型社食サービス「オフィスおかん」:(株)OKAN

汎用性重視型

・Benefit Station:(株)ベネフィット・ワン

・福利厚生倶楽部:(株)リロクラブ

・WELBOX:(株)イーウェル

専門性特化のアウトソーシングサービスを提供する会社は、自社サービスを提供した結果、福利厚生の一部に位置付けられているもので、一回のサービス利用ごとに都度、費用がかかる傾向があります。

一方、レジャーや美容、健康管理やスキルアップ研修など幅広く取揃えた汎用性重視型の会社が提供する福利厚生サービスの場合、登録などの初期費用とは別に、従業員一人ごとに月額で費用がかかるのが基本です。

一人当たりの費用は月額500円~1000円が相場ですが、単価を安く抑えるところは初期費用を高めに設定する傾向があります。

サービスラインアップから回数無制限で自由に会員価格で利用できる定額制(パッケージプラン)と、従業員にポイントを付与し、ポイント利用の範囲でサービスを利用できる選択制(カフェテリアプラン)があります。

2.福利厚生のアウトソーシングを利用するメリットとデメリット

福利厚生のアウトソーシングを利用するメリットとデメリットは次の表のとおりです。

福利厚生のアウトソーシングを利用するメリットとデメリット比較

メリット

デメリット

・すぐに福利厚生制度を導入できる

・利用率や傾向を分析して従業員満足度につなげやすい

・総務人事部門の負荷軽減ができる

・手続きやプランが煩雑で利用されにくい

・オンシーズンは利用しづらい

・企業の個性や成長戦略につながりにくい

アウトソーシングで福利厚生を利用するメリットは、何より、すぐに福利厚生制度を導入できることです。

例えば、福利厚生に課題を抱えた企業が、従業員の福利厚生のニーズがわからず、運用ノウハウも持たない場合、ラインアップが豊富な福利厚生のアウトソーシングを利用し、福利厚生の利用率や傾向から掴むのはよい手と言えます。

また、福利厚生は総務人事部門に負荷をかけやすいため、社食やオフィス内のカフェサービスの一部を外部委託するだけでも負荷軽減につながります。

一方、アウトソーシングで福利厚生を利用するデメリットとしては、手続きやプランが煩雑で利用されにくいことが挙げられます。

また、他社も同じ福利厚生サービスを利用する場合、ニーズが集中するオンシーズンは予約ができず、利用しづらい傾向があります。

煩雑さや予約の取れなさが続けば、せっかくの福利厚生をアウトソーシングしても、従業員満足度に貢献しません。

なお、福利厚生をアウトソーシングということは他の会社も外部委託できるため、福利厚生の独自性にはつながらず、企業の個性になりません。

企業の成長戦略として福利厚生を充実させるのであれば、従業員のニーズを満たす内容を考える必要があります。

ユニークな福利厚生に興味のある方は、関連記事をあわせてご覧ください。

面白い福利厚生とは?企業の個性を引出す人事制度を整えよう

3.アウトソーシングだけで福利厚生をまかなえるわけではない

福利厚生のアウトソーシングを検討している方が注意すべきなのは、アウトソーシングだけで福利厚生がまかなえるわけではない点です。

福利厚生の専門会社にアウトソーシングし、豊富なラインアップの福利厚生サービスを提供することは、一定の従業員満足度の向上につながります。

しかし、従業員の喜びや悲しみに寄り添う慶弔見舞金制度など、最低限の福利厚生制度を自前で整えないまま、福利厚生のアウトソーシングサービスを利用しても、従業員の支持は得られません。

福利厚生を充実させるには事業資金から財源を確保する必要がありますが、中でも、特に社会通念上、支払いが高額になりやすい死亡弔慰金などは、福利厚生の団体保険プランで備えるのが一般的です。

みんなの団体定期保険

*福利厚生としての慶弔見舞金制度については次のコンテンツで詳しく解説しています。

福利厚生の見舞金とは?慶弔災害の種類と相場と制度導入する方法

なお、勤怠や人事制度など従業員が働く上での利便性も、福利厚生です。

勤務時間を任意に設定できる「フレックス制度」や自宅でリモートワークできる「在宅勤務制度」、社内で新事業が行える「社内ベンチャー制度」などを導入する場合、外部委託は困難です。

定型業務になれば、部分的に総務のアウトソーシングできますが、企業理念にマッチした色を出し、企業戦略として福利厚生を用意するには総務人事部門の負荷は避けられません。

リモートワークの浸透によって多様な働き方が生まれ、オフィス環境を充実させることが必ずしも福利厚生につながるとは言い切れない事情も出てきています。

既にある福利厚生を見直し、従業員のニーズにマッチしているかを判断し、必要性があればアウトソーシングを利用する方針がよいでしょう。

福利厚生のトレンドについては次のコンテンツで詳しく解説しています。

福利厚生のトレンドは従業員個人の利益から企業を成長させる力へ

(執筆 株式会社SoLabo)

生22-3368,法人開拓戦略室

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