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食事手当とは?類語との違いやよくある質問を解説

経営課題事例

2024-04-18

「食事手当とは?」をテーマに、食事手当の定義や類語との違い、食事手当についてよくある質問を回答します。

目次

会社の福利厚生による社員の食事サポートには「現物支給」や「食券支給」のような仕組みがいくつかありますが、食事手当のような「現金支給」は、どのような位置付けか、ご存知でしょうか。

本記事では経営者の方向けに、食事手当の基本として、交際費や出張旅費などの類語との違い、食事手当についてよくある質問について解説します。

1.食事手当は「現金支給」の福利厚生のひとつ

食事手当は、社員に対して給与と一緒に食事代として一律支給する現金、あるいは食事に関する費用補助のために現金を支給する福利厚生制度そのものを指します。

食事手当について、会社が支給する義務を定めた法律はないため、会社の判断で導入する福利厚生のひとつであり、当然、会社によって食事手当がないところもあります。

社員の食事をサポートする福利厚生に関しては、食事手当の「現金支給」のほかに、お弁当など食事そのものを会社が提供する「現物支給」や、あらかじめ会社が食事代を費用負担する仕組みを前提とした「食券支給」があります。

「現金支給」の食事手当は原則、給与扱いで課税対象であり、福利厚生費には計上できません。
参照:使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合|国税庁

一方で、「現物支給」や「食券支給」であれば、条件を満たせば福利厚生費として計上できるため、非課税にできます。

なお、現金支給でも、深夜勤務者、残業または宿日直に対しての食事については例外があるので、注意が必要です。
参照:No.2594 食事を支給したとき|国税庁

食事の「現物支給」や「食券支給」などのランチサポートについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生でランチをサポートするなら?食事支給と費用補助を解説

なお、統計には食事手当に限定したデータはありませんが、企業の「食事に関する費用」はあるため、福利厚生における食事の傾向を読み取れます。

就労条件総合調査で食事に関する費用の傾向を読み取ると、2021年は2016年に比べ、労働者1人あたりの1カ月の費用が少なくなっている傾向が見られます。

また、社員数の多い大企業よりは、少ない会社の方が食事に関する費用が手厚い傾向が見られます。

法定外福利費における食事に関する費用(1カ月分)

企業規模・年

食事に関する費用

令和3年(2021年)調査計

493(円)

1,000人以上

174(円)

300~999人

427(円)

100~299人

690(円)

30~99人

849(円)

平成28年(2016年)調査計

616(円)

*次の参照先にある「第19表 常用労働者1人1か月平均法定福利費」から「食事に関する費用」の列を抜粋し、表として再構成
参照:令和3年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

2020年から働き方改革に関連して在宅勤務・リモートワーク(テレワーク)などが推進され、自宅で勤務する社員が大企業ほど多い傾向が見られるため、職場における食事に関する費用が不要とみなされた可能性が考えられます。
参照:『令和3年 情報通信白書』 図表2-3-4-1 企業のテレワーク実施率|総務省

なお、福利厚生に影響する「働き方改革」については次のコンテンツで詳しく解説しています。
働き方改革を推進する福利厚生とは?取組事例やポイントを解説

交際費や接待飲食費との違い

取引先など社外の方の接待や交流を前提とした食事代は「交際費」や「接待飲食費」として扱います。

一方の「食事手当」は、原則、社員個人が就業中の食事を摂ることを前提に支給される現金であり、例えば、会社の食事手当の支給要件に「同僚と交流する」などが定められてない限り、特に業務上の目的は設定されません。

つまり、食事手当と、交際費や接待飲食費の違いは、食事を摂る業務上の目的の有無です。

なお、食事の際に社外の方が混じっていても、旅行・観劇などが付随するなど「会食による接待」がメインでないのであれば、交際費や接待飲食費には計上できない可能性があるので、注意が必要です。
参照:接待飲食費に関するFAQ|国税庁

出張旅費や出張手当との違い

出張手当とは、役員や従業員が出張の際に、その人に対して、交通費・宿泊費以外にかかる食事代や雑費等の経費を実費精算するのではなく、あらかじめ決められた額を支払うものです。

つまり、食事手当は就業中の社員の食事代を支給するものですが、出張時の食事代は出張旅費や出張手当などで取扱うということです。

参照:No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い|国税庁

ただし、海外への出張または転勤のために支給した出張旅費、宿泊費、日当は原則として課税仕入れにならず、税控除の対象になりません。

2.食事手当のよくある質問(FAQ)

食事手当に関するよくある質問として、次の内容を解説します。

食事手当は非課税にできる?
食事手当を付与すると残業代が高くなる?
食事手当に上限の金額はある?
食事を食べない社員にも食事手当を支給できる?

食事手当は非課税にできる?

冒頭にも説明したとおり、深夜勤務者や宿日直を行うケースの例外はありますが、食事手当は現金支給である以上、課税対象で、原則、非課税にはなりません。

ただし、食事の「現物支給」や「食券支給」であれば条件を満たせば非課税にできるので、社員への食事をサポートする福利厚生を導入したいのであれば、現金支給以外の方策を検討しましょう。

食事手当を付与すると残業代が高くなる?

現金を渡すだけの昼食分の食事手当は原則、一律支給であるため、給与所得の扱いであり、割増時の賃金の計算に含まれます。そのため同じ基本給の場合食事手当が付与される方が残業代が高くなります。

役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。具体的には、残業手当や休日出勤手当、職務手当等のほか、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども給与所得となります。

引用:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

参考までに割増賃金は、月給制の場合は「月給」に「1年間における1カ月平均所定労働時間」で割って「1時間あたりの賃金」を算出して計算する必要がありますが、この「月給」に一律支給の食事手当が含まれます。
参照:しっかりマスター労働基準法 割増賃金編(PDF)p.3|厚生労働省

食事手当に上限の金額はある?

食事の「現物支給」や「食券支給」であれば社員一人あたり月3,500円までの非課税限度額が上限の指標といえますが、「現金支給」の食事手当は原則、課税対象で、関連する法令等の制限を受ける要素がないため、上限金額は会社が決められます。

食事を食べない社員にも食事手当を支給できる?

食事手当の場合、社員が勤務日に昼食を食べたとみなして現金支給するため、実際に食べたかどうかの判定は必要なく、仮に昼食を食べない習慣の社員であっても、食事手当の支給対象にできます。

ただし、食事の「現物支給」や「食券支給」にあたる仕組みにおいて、社員が昼食を食べないにも関わらず、食事代として給料から一律で引去り(控除)する場合、了承を得ていないのであれば違法と判断される可能性が高いです。

何故なら、社員や労働組合との合意なしに会社が給料からの控除できるのは、所得税、住民税などの税金のほか、社会保険や雇用保険の保険料などの法定の控除に限るためです。
参照:労働基準法(労基法) - 第二十四条(賃金の支払)|e-Gov

例えば、社員が利用するか否かに関係なく、社員食堂の運営費用や食事費用について会社と社員で折半し、一律で控除したいのであれば、会社と労働組合などの間において労使協定で定める必要があります。

(執筆 株式会社SoLabo)

生23-5570,法人開拓戦略室

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