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財形住宅貯蓄とは?メリットとデメリットを解説

経営課題事例

2024-01-25

「財形住宅貯蓄」をテーマに、概要や導入方法、メリット、デメリットなどを解説します。

目次

財形住宅貯蓄の導入を検討している事業者やマイホームの取得やリフォームを目的とした資産形成の手段として、財形住宅貯蓄を検討している人もいると思います。

この記事では財形住宅貯蓄とはどのような制度か、その概要を解説します。財形住宅貯蓄の特徴である非課税措置や課税対象となるケースなど、メリットやデメリットに関しても説明するので、ぜひ参考にしてください。

1.財形住宅貯蓄はマイホーム資金の貯蓄に有益な貯蓄制度

財形住宅貯蓄は、マイホーム資金の貯蓄に有益な財形貯蓄制度のひとつです。住宅購入費用やリフォーム費用を目的としており、55歳未満の勤労者が5年以上の期間にわたって給料から引去りして貯蓄を行います。

【財形住宅貯蓄の概要】

契約要件

積立方法

積立期間

払出しの対象

利子等非課税の限度額

金融機関の変更

55歳未満の勤労者

給与引去り

5年以上

住宅取得およびリフォーム費用

元本550万円まで※

保有期間に関わらず不可

※財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の合計の場合
保険商品の場合、財形年金貯蓄のみなら385万円、財形住宅貯蓄のみなら550万円

財形住宅貯蓄の払い出し対象となるのは、建築・購入・リフォームを問わず床面積が50平方メートル以上の住宅です。2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅のうち、新築または建築後使用されたことのない住宅は40平方メートル以上が対象となります。

また、財形住宅貯蓄の払い出し対象が中古住宅の場合は、一定の耐震基準を満たすものか1982年1月1日以後に建築されたものであることが要件です。リフォーム費用に関しては費用総額が75万円を超えることが要件となっています。

なお、財形住宅貯蓄は、財形年金貯蓄とあわせて550万円までの利子が非課税対象となります。一方で目的以外での解約や引出しを行うと、過去5年間分の利子が課税措置の対象となるため留意しておきましょう。

2.財形住宅貯蓄のメリット

財形住宅貯蓄は、給料から引去りで貯蓄を行うため、自動的に積立てができます。それ以外にも財形住宅貯蓄にはいくつかのメリットが挙げられます。

【財形住宅貯蓄のメリット】

  • 非課税措置が受けられる
  • 目的外での払い出しもできる
  • 特定の融資制度が利用可能になる

非課税措置が受けられる

財形住宅貯蓄は、元本550万円までの利子等について非課税になります。財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を運用している場合であっても、2つあわせて元利合計550万円までの利子等が非課税対象です。

また、育児休暇を取得する場合、休暇期間中は財形住宅貯蓄の積立てを中止して休暇終了後に引き続き非課税での積立てが可能です。育児休暇中の積立て中断と休暇終了後の再開を希望する場合は、勤務先で休暇の開始前に所定の手続きが必要になります。

なお、財形住宅貯蓄を2年以上中断した場合は非課税措置が受けられなくなります。退職などで中断する場合には、転職先の福利厚生に財形住宅貯蓄が含まれているかどうかを確認して2年以内に移換するようにしましょう。

目的外での払い出しもできる

財形住宅貯蓄は、住宅取得やリフォームを目的とした制度ですが、目的外での払い出しもできます。その点が目的外での払い戻しができないiDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険と比較したメリットといえるでしょう。

また、財形住宅貯蓄は目的以外の払い出しをする場合でも、課税対象となるのは過去5年分の利子等に限られます。そのため、住宅取得やリフォームの予定がない人も財形住宅貯蓄を活用した積立てを行い、貯蓄に対する非課税措置が受けられることがあります。

なお、払い出しを前提とした貯蓄が目的の場合には一般財形貯蓄を活用することを検討してみてください。

特定の融資制度が利用可能になる

財形住宅貯蓄で積立てを行うと「財形持家融資制度」の利用が可能になります。財形持家融資制度とは、従業員が事業所を通じて財形貯蓄の残高に応じた融資を受けられる制度です。

事業者は財形持家融資制度によって負担を抑えて社内融資制度の充実を図れます。事業者が融資を受けるための要件は「いずれかの財形貯蓄の導入」「住宅資金の転貸への負担軽減措置」「財形持家転貸融資に関する社内規程の作成」です。

勤労者は財形持家融資制度によって長期かつ低利で融資を受けられます。勤労者が融資を受けるには、財形貯蓄を「1年以上継続している」「過去2年間定期の積立を行っている」「50万円以上有している」という3つの要件を満たす必要があります。

なお、融資制度の貸付住宅および土地や返済期間にも要件があります。福利厚生としての導入を検討している企業や勤務先を通じて融資制度を活用したい人は厚生労働省「財形持家融資制度」を確認してみてください。

3.財形住宅貯蓄のデメリット

財形住宅貯蓄は、そもそも事業所が福利厚生として導入していない場合は活用できません。

財形住宅貯蓄には、預貯金や少額投資非課税制度と比較した場合のデメリットもあります。

【財形住宅貯蓄のデメリット】

  • 他の金融商品より金利が低い
  • 元本割れのリスクがある
  • 目的外での払い出しは課税対象となる

他の金融商品より金利が低い

財形住宅貯蓄の金利は、金融機関によって多少異なりますが、預金額に対して0.001%~0.02%程度です。そのため、他の金融商品より金利が低いといえます。

たとえば、金融庁の試算によると国内株式の平均的な利回りは5.6%です。また、金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」によると、つみたてNISAを20年間継続した場合の運用成果の実績で最も多い利回りは4~6%です。

金利が低いと非課税優遇制度の恩恵も受けにくいことを考慮にいれて制度の活用を検討してみてください。

元本割れのリスクがある

財形住宅貯蓄の運用先が保険会社や証券会社の場合、元本割れのリスクがあります。保険や投資信託などの金融商品は返戻率や商品価格が変動するためです。

たとえば、住宅の購入やリフォームなどの目的で払い出す際、積立てた掛け金よりも金融商品の価格が下落していた場合は元本割れになります。

なお、財形住宅貯蓄の運用先が預貯金の場合には元本割れのリスクはありません。財形住宅貯蓄の運用は勤務先が契約している金融機関で行うため、事前に勤務先で契約している金融機関を確認し、制度の活用に関しては慎重に検討するようにしましょう。

目的外での払い出しは課税対象となる

財形住宅貯蓄は目的外での払い出しは積立金や利子が課税対象となります。財形住宅貯蓄を目的外で払い出した場合は積立金には20.315%が課税され、過去5年間分の利子も課税対象となります。

また、財形住宅貯蓄は退職してから一定期間が経過すると課税対象となります。たとえば、退職前最後に積立てを行ったのが2023年3月25日の場合、利子等が課税対象とならないようにするためには、2年後の2025年3月25日までに積立ての再開が必要です。

なお、退職から2年以内に財形住宅貯蓄を導入している勤務先に転職した場合は、引き続き非課税措置を受けながら積立ての継続が可能です。継続したい場合には、転職先の福利厚生に財形住宅貯蓄があるか事前に確認しましょう。

4.財形住宅貯蓄を始めるには?

従業員が財形住宅貯蓄を始めたい場合には、まずは勤務先が制度を導入しているか確認しましょう。勤務先で制度を導入している場合には申請すると財形住宅貯蓄を始められます。

企業が財形住宅貯蓄を福利厚生として導入したい場合には、制度の導入まで社内外での手続きが必要です。財形住宅貯蓄制度を導入するために行う手続きは、社内規程の策定、従業員との労使協定、取扱金融機関担当者との契約、従業員への説明などです。

なお、財形住宅貯蓄を含め財形貯蓄の導入に関する情報を知りたい人は「財形貯蓄とは?企業と従業員のメリットやデメリットをそれぞれ解説」を参考にしてみてください。

財形貯蓄とは?企業と従業員のメリットやデメリットをそれぞれ解説

(執筆 株式会社SoLabo)

生23-4202,法人開拓戦略室

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