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財形年金貯蓄とは?特徴と概要を解説

経営課題事例

2024-01-25

「財形年金貯蓄」をテーマに、概要や特徴、導入方法などについて解説します。

目次

貯蓄によって老後に向けた資産形成を行いたいと考える人もいることでしょう。貯蓄方法のひとつとして、財形貯蓄を検討している人もいるのではないでしょうか。

この記事では財形年金貯蓄とはどのような貯蓄方法か、解説します。財形年金貯蓄の特徴や受取り方法に関しても説明するので、ぜひ参考にしてください。

1.財形年金貯蓄とは

財形年金貯蓄とは、財形貯蓄制度のひとつで、60歳以降に年金として受取ることを目的に行う貯蓄制度です。55歳未満の勤労者が、5年以上の期間にわたって給料から引去りして貯蓄を行います。

【財形年金貯蓄の概要】

契約要件

積立方法

積立期間

受取り期間

利子等非課税の限度額

金融機関の変更

55歳未満の勤労者

給与引去り

5年以上

60歳以降の5年以上20年以内

元本550万円まで※

保有期間に関わらず不可

※財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の合計の場合
保険商品の場合、財形年金貯蓄のみなら385万円、財形住宅貯蓄のみなら550万円

財形年金貯蓄の受取り期間は60歳以降の5年以上20年以内です。年金の受給開始は2023年現在65歳以上のため、財形年金貯蓄の活用によって年金受給までの生活費の確保も可能になります。

また、財形年金貯蓄は、財形住宅貯蓄と合計して550万円までの利子が非課税となります。ただし、年金として受取ることを目的とした貯蓄のため、積立て途中で解約や引出しを行うと、過去5年間分の利子が課税措置の対象となります。

なお、財形年金貯蓄を含めて3種類ある財形貯蓄に関する情報を知りたい人は「財形貯蓄とは?企業と従業員のメリットやデメリットをそれぞれ解説」を参考にしてみてください。
財形貯蓄とは?企業と従業員のメリットやデメリットをそれぞれ解説

2.財形年金貯蓄の特徴

「財形年金貯蓄」は「財形住宅貯蓄」と併せて「一般財形貯蓄」とは異なる特徴があります。

特に非課税措置や払い出しに関しては制度を利活用する前に把握しておきましょう。

受取り年数を自由に決められる

財形年金貯蓄は受取り年数を自由に決められる点が特徴のひとつです。財形年金貯蓄を始めるときに受取り年数を決められなくとも、自分で決めたリタイアのタイミングに応じて受取り年数を自由に決められます。

たとえば、財形年金貯蓄は60歳以降の時点で、都合に応じて5年以上20年以内の範囲で受取り年数を決められます。60歳以降の必要なタイミングで受取り年数を検討できるのは、財形年金貯蓄の特徴のひとつといえるでしょう。

一方で、個人年金保険は契約時に受取り期間を決める必要があります。5年・10年・15年などの一定期間が設定されており、加入している年金の種類によっては契約後の変更ができない場合もありますが、受取り方法に関しては一括と年金のいずれかを選択できます。

非課税措置が受けられる

財形年金貯蓄には元本550万円までの利子等について非課税措置が適用されます。財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の両方を活用する場合は、双方をあわせて合計550万円の利子が非課税となります。

ただし、財形年金貯蓄の運用を行っているのが「生命保険」「生命共済」「損害保険」の場合は、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の非課税枠が決められています。財形年金貯蓄の保険料や掛け金の385万円まで、財形住宅貯蓄の165万円までが非課税枠です。

また、育児休業等を取得して積立てを中断する場合も、積立金に対する利子等の非課税措置は継続できます。財形年金貯蓄は原則として2年以上中断すると非課税措置を受けられなくなりますが、育児休業は事前に所定の手続きを行うと非課税措置を受けられます。

なお、退職により財形年金貯蓄を2年以上中断した場合は積立金の利子等の非課税措置が受けられなくなります。転職先の福利厚生に財形年金貯蓄制度がある場合は2年以内に手続きを行い、移換するようにしましょう。

参考:No.1319 財形年金貯蓄|国税庁

年金以外の払い出しができない

財形年金貯蓄は、年金として受取ることを目的としているため、目的以外の払い出しをすると要件違反となります。目的以外の払い出しをすると全額が解約され、利子等の非課税措置を受けられなくなることも特徴のひとつです。

たとえば、財形年金貯蓄を預貯金型で行っている場合、目的以外の払い出しをすると過去5年分の利子等が課税対象となります。保険型の財形年金貯蓄の場合は解約払戻金や積立配当金の差益が一時所得として課税対象となります。

ただし、災害や年間の医療費が一定額を超えた場合などの払い出しに対しては特例が定められており、非課税措置がなされます。また、年金支払開始から5年経過後の払い出しに関しても非課税措置の対象となります。

なお、財形年金貯蓄と同様、年金としての受取りが目的のiDeCoは、加入者の死亡など一定の条件を満たさない限り60歳まで払い出しはできません。財形年金貯蓄はやむを得ず払い出しを行った場合は利子等が課税対象となることを念頭に入れておきましょう。

3.財形年金貯蓄を始めるには?

財形年金貯蓄を始めたい従業員は、まずは勤務先が財形貯蓄制度を導入しているか確認してください。勤務先が財形貯蓄制度を導入していない場合は財形年金貯蓄を始められませんが、導入されている場合は申請すると始められます。

また、財形年金貯蓄を福利厚生として導入したい企業は、制度の導入に至るまで社内外での手続きが必要となります。財形年金貯蓄制度を導入するために行う手続きは、社内規程の策定、従業員との労使協定、取扱金融機関担当者との契約、従業員への説明などです。

いずれの場合も、企業によって制度や金融機関の契約内容は異なります。財形年金貯蓄の導入に際しては、福利厚生制度の構築や充実に関するトータルコンサルティングを行っている金融機関への相談も検討してみてください。

(執筆 株式会社SoLabo)

生23-4201,法人開拓戦略室

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