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労務管理をアウトソーシングできる範囲は?メリットとデメリットも解説

経営課題事例

2023-12-21

「労務管理のアウトソーシング」をテーマに、労務管理をアウトソーシングできる範囲やメリットデメリットを経営者向けに解説します。

目次

労務管理は従業員の労働環境を整えるためにある業務です。知識を必要とする労務管理をアウトソーシングしたいと考える人もいるのではないでしょうか。

その際、労務管理をアウトソーシングできる範囲はどこまでなのか分からない人もいるでしょう。

当記事では、労務管理をアウトソーシングできる範囲を解説していきます。アウトソーシングした場合のメリットやデメリットも解説しているため、労務管理をアウトソーシングにするのか考えている人は参考にしてみてください。

1.労務管理をアウトソーシングできる範囲は決まっている

労務管理をアウトソーシングできる範囲は決まっています。労務管理の業務内容の一部は社労士以外の労務管理士などが営利目的で業務を行うことができないからです。

たとえば、申請書の作成や手続きの代理業務、労働保険に関する帳簿の作成、就業規則の作成などは社会保険労務士法にある独占業務の1号、2号業務にあたるため社労士以外の外注先には依頼ができません。

一方で、ハラスメントなど労務、人事に関する会社の課題解決について相談を受ける3号業務の労務コンサルティングは労務管理士、コンサルタントなど社労士以外の資格を保有していない人でも業務を行うことができます。

そのため、申請書の作成や手続きの代理業務、労働保険に関する帳簿の作成、就業規則の作成などを依頼したい場合は社労士、労務や人事に関する相談や指導を依頼するなら自社の課題解決にあったアウトソーシング先を検討しましょう。

2.労務管理をアウトソーシングするメリット

労務管理をアウトソーシングするメリットの確認をします。自社には労務管理をアウトソーシングする必要があるのか検討材料になるからです。

【労務管理をアウトソーシングにした場合のメリット例】

  • 労務管理の専門知識を活用できる
  • メインの業務に集中できる
  • 客観的な視点から問題点に気づく可能性がある
  • 労務管理に関する情報を迅速に得られる
  • ミスや遅れを防げる

たとえば、客観的な視点である労務管理の専門家に見てもらうことで、会社の見落としていた課題や問題点に気づける可能性があります。

労務管理の専門家は、日頃から書類の手続きや労務、人事の解決などの方法を判断し処理を行っているため、業務のミスや漏れがないように対応することができ、会社に適したアドバイスを受けることができます。

このように、労務管理の知識に詳しい人が不在の会社にとって業務の負担を減少できるため労務管理をアウトソーシングに依頼することはメリットがあります。

労務管理の専門知識を活用できる

アウトソーシングでは労務管理の専門知識を活用できます。専門家に依頼をすることで、業務の委託や労務管理に関するアドバイスを受けることができるからです。

たとえば、社労士に依頼をする場合、労務管理全般の知識や法令改正に関する有益な情報を得ることができます。また、外注先の社労士は実務で蓄積した専門的な知識があるため、的確にサポートが受けることができます。

社内に労務管理の知識を保有している人が不在の場合、就業規則など労務管理関連の法律で誤った理解、運用をしてしまい罰則や従業員とのトラブルが生じる可能性があります。

また、専門家に直接社会保険や労務などの法的な知識によるアドバイスを受け、労務管理に関する相談ができるため労働環境の改善に対応することができます。

メインの業務に集中ができる

労務管理をアウトソーシングにするとメインの業務に集中ができます。アウトソーシングにすることによって労務管理にかかっていた時間をメインの業務にあてることができるからです。

たとえば、社内で人事担当者や経営者が申請書作成などの労務管理を行っている場合、その他にも人材育成や採用業務、運営などやるべき業務があります。しかし、労務管理のすべての業務を行うと担当者のメイン業務に集中できる時間が減少する可能性があります。

また、労務管理は専門性の高い労務や社会保険に関する業務のため、書類作成などの作業に時間がかかる場合があります。

そのため、専門家に労務管理の業務を依頼することで、書類の手続きなど円滑に作業が進み、担当者の作業量を減らしメインの業務に集中できる時間を増やすことができます。

3.労務管理をアウトソーシングにするデメリット

労務管理をアウトソーシングにするデメリットを考慮する必要があります。労務管理をアウトソーシングする前に把握しておくことで、理解を深め検討材料や不測の事態に備えることができるからです。

【労務管理のアウトソーシングにする場合のデメリット例】

  • 費用がかかる
  • 労務管理の知識が蓄積できない
  • 相談できる手段は外注先によって違う
  • 外部へのデータ漏えいの可能性がある

労務管理をアウトソーシングする場合、自社で労務管理の知識を活用する機会がなくなるため知識を蓄積することはできなくなります。

また、社内で担当者がいた場合はその場で相談できますがアウトソーシングの場合、外部に依頼をしているためメールや電話など相談する手段や時間を考慮する必要があります。

アウトソーシングは外部に業務を依頼することであり、業務データを外部に渡すことになるため、外部へのデータ漏えいの可能性を考えなければいけません。外注先を選定する際に、情報管理が徹底されているのかなどを確認することが大切です。

費用がかかる

労務管理をアウトソーシングにした場合、費用がかかります。労務管理のアウトソーシングにかかる費用は、外注先や依頼内容によって異なります。

【費用のかかる要因】

  • 従業員数や会社規模
  • 依頼する業務範囲
  • 外注先

たとえば、従業員数や会社規模の大きさ、専門家が対応できる業務をすべて依頼するのか、一部の業務は自社で行うのかによって費用は変わってきます。また、顧問契約かスポットでの依頼なのかによっても費用は異なります。

労務管理のアウトソーシングを検討している人は、社内で労務管理ができる人材を雇用する費用とアウトソーシングにかかる費用を比較してどちらが費用を抑えられるか検討しましょう。

労務管理の知識が蓄積できない

労務管理をアウトソーシングすると労務管理の知識が蓄積できません。依頼する内容にもよりますが、外注した業務を社内で行う機会が減ってしまうからです。

たとえば、労務管理の業務に携わっておらず外注先が不測の事態になった場合、担当者の引継ぎをしていないため業務に支障をきたす可能性があります。

そのため、労務管理の業務を任せて自社が携わることがない場合、労務事務の知識が社内に蓄積されていない状態では労務管理を依頼した外注先になにかあった際に会社での対応ができなくなります。

また、労務管理を依頼できる範囲すべてアウトソーシングしている場合、労務管理の知識を持つ人材を雇用していないと不測の事態に備えることができません。

労務管理をアウトソーシングする場合は、自社で労務管理に関してトラブルが生じても対応できるように労務管理の勉強や業務内容、進め方など、ある程度の情報を理解し専門的な知識を持つ人材の育成を進めておくとよいでしょう。

4.労務管理をアウトソーシングする際は目的を明確にする

労務管理をアウトソーシングする際は目的を明確にする必要があります。外注先によって、手続き業務や労務に関するアドバイスなど得意分野や業務範囲が異なるため、自社の目的と得意分野が合致する外注先を選定する必要があるからです。

たとえば、自社の労務や人事に関する課題、問題解決を目的に依頼する場合は、書類作成や労務コンサルティングなどを得意とする外注先を選定します。

外注先の選定をする際は、事務所のホームページなどを確認します。依頼する業務内容の範囲があるのか、これまでの依頼件数や、自社に類似している業種での実績、外注先のコストは予算の範囲内なのかなど確認することで自社にあった外注先を検討できます。

労務管理をアウトソーシングする場合は、自社の悩みを解決するために依頼する目的を明確にした上で適切な外注先を選定しましょう。

5.まとめ

労務管理をアウトソーシングできる範囲は社労士に依頼をする場合と労務管理士など社労士以外に依頼をすることによって異なります。

アウトソーシングすることによって、労務管理の知識を蓄積できない場合不測の事態に対応できないなどデメリットが生じる可能性もあります。

一方、労務管理の専門家に相談ができるため担当者の負担を軽減や担当者がメインの業務に時間をあてることができるなどメリットもあります。

社内に労務管理の知識を持っている人が不在の場合、メリットやデメリットを考慮してアウトソーシングや人材雇用の検討をしてみてはいかがでしょうか。

(執筆 株式会社SoLabo)

生23-4227,法人開拓戦略室

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