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逓増定期保険とは?経理処理の方法も解説

経営課題事例

2024-01-25

「逓増定期保険」をテーマに、概要や経理処理方法、契約貸付制度などについて解説します。

目次

法人の経営者や経理担当者の中には、将来のリスクに備えて基準保険金額が増加していく逓増定期保険の契約を検討している人もいるのではないでしょうか。

本記事では、逓増定期保険について解説します。経理処理の方法も解説しているので参考にしてみてください。

1.逓増定期保険とは

逓増(ていぞう)定期保険とは、定期保険の一種で保険金額が徐々に増加していく保険です。段階的に保険金額が増えていくため、事業が発展していくのに併せて弔慰金や事業承継などに必要な財源に備えることができます。

逓増定期保険は、加入者が死亡時に死亡保険金を支払います。受け取れる保険金額は段階的に増加していきますが、支払う保険料は一定です。保険金額が段階的に増加してく割合のことを、逓増率といいます。

たとえば、6年度目から逓増率が50%に増加する契約の場合は、逓増定期保険の契約から5年間は逓増率が0%で保険金額は増加しません。6年目から逓増率が50%になり段階的に受け取れる保険金額が増加していきます。

逓増定期保険によって受け取れる保険金額は、基本保険金額の5倍まで増加していきます。

なお、逓増定期保険の逓増率や逓増率が変化するタイミングは契約するプラン内容によって異なります。逓増定期保険の契約を検討している場合は、プランの内容を確認しておきましょう。

解約払戻金は保険料の支払い期間に応じて変化する

契約する内容によりますが、逓増定期保険の解約時に受け取れる解約払戻金額は、保険料の支払い期間に応じて変化します。解約払戻金とは、保険解約時に受け取れる金額のことです。

逓増定期保険の解約払戻金は、保険料の支払い期間に応じて徐々に増加した後は、保険の契約満期に向けて徐々に減少していきます。また、保険の契約満了時には、解約払戻金は無くなる傾向があります。

なお、逓増定期保険の解約返戻率は、契約する商品によって異なります。逓増定期保険の契約を検討している人は、解約の時期によってどの程度解約返戻率が減少するのかを確認しておきましょう。

一時的な資金が必要な場合は契約貸付制度を利用できる

逓増定期保険を契約している人は、一時的に資金が必要になった際に契約貸付制度を利用できます。契約貸付制度は、解約払戻金の範囲内で貸し付けを行う制度です。

契約貸付制度のメリットは、生命保険の加入を維持しながら資金繰りを行えることや借入時の審査が必要ないことなどです。一方デメリットは、借入れたお金に利息がかかる、返済が行えない場合契約している保険の失効や解除となる可能性があることです。

なお、契約貸付で借入れできる上限金額や利息は、契約者によって異なります。また、借入の手続き方法も、契約している保険会社によって異なるため、契約貸付の利用を検討している人は、利用条件を確認しましょう。

2.逓増定期保険の経理処理

逓増定期保険の経理処理方法は、最高解約返戻率によって決められています。そのため、経理処理の際は解約時に受け取れる払戻金が保険料に対して最も高くなる割合を示す最高解約返戻率を確認しましょう。

【解約返戻率ごとの取扱い】

区分

資産計上期間

資産計上額

取崩期間

最高解約返戻率50%超70%以下

保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで

当期分支払保険料の額に100分の40を乗じて計算した金額

保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで

最高解約返戻率70%超85%以下

当期分支払保険料の額に100分の60を乗じて計算した金額

一部引用:第3節 保険料等 9-3-5の2|国税庁

解約返戻率が50%以下の場合は、全額損金算入可能です。

一方、保険期間が20年で解約返戻率が70%の商品の場合、保険期間20年の4割相当期間にあたる8年目までは、支払保険料に10分の4を乗じた金額を前払保険料として計上する必要があります。支払い保険料の残り6割に関しては、損金算入が可能です。

取崩期間は、資産計上した保険料を損金計上始める期間です。保険期間が20年の場合は、100分の75相当期間経過後の15保険年度以降から取崩が可能です。

なお、逓増定期保険の解約返戻率が85%を超える場合は、資産計上期間や資産計上額の計算方法が異なります。逓増定期保険の解約返戻率が85%を超える商品を契約している人は、国税庁「第3節 保険料等」を確認してみてください。

(執筆 株式会社SoLabo)

生23-4204,法人開拓戦略室

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