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福利厚生の平均費用はいくら?中小企業でよくある制度や施策も解説

経営課題事例

2023-03-20

「福利厚生の平均」をテーマに、法定福利費と法定外福利費の平均額、中小企業で平均的に導入される、いわゆる定番の福利厚生制度や施策について、経営者向けに解説します。

目次

企業の福利厚生には法律で義務付けられている「法定福利」と会社が独自で用意している「法定外福利」があります。

本記事では、福利厚生費の平均費用を「法定福利費」と「法定外福利費」に分けて解説しているので、経営者の皆様は福利厚生費の比較や見直しの参考にしてください。

また、中小企業に導入が見られる平均的な福利厚生として、いわゆる「定番の福利厚生制度や施策」についてもご紹介します。

1.法定福利費の平均

2021年(令和3年)度の法定福利費の従業員一人当たりの月の平均額は50,283円です。法定福利費は、法律で定められた福利厚生に関する費用のため、基本的に企業による項目の差はありません。

健康保険料・介護保険料

17,496円

厚生年金保険料

27,905円

労働保険料

3,695円

子ども・子育て拠出金

987円

その他の法定福利費

98円

引用:令和3年就労条件総合調査の概況「第18表常用労働者1人1か月平均法定福利費」| 厚生労働省

2016年(平成28年)度調査では47,693円でした。法定福利費に関連する保険料率が増加していることから、法定福利費は年々上昇していくことが予想されます。
参照:医療・介護保険の給付・負担の推移| 内閣府

2.法定外福利費の平均

2021年(令和3年)度の法定外福利費の従業員一人当たりの月の平均額は、4,882円です。

法定外福利費は、企業が独自で用意する福利厚生に関する費用です。そのため、従業員規模や社風などによって企業が費用をかける福利厚生の項目に差があります。

住居に関する費用

2,509円

医療保険に関する費用

729円

食事に関する費用

493円

文化・体育・娯楽に関する費用

163円

その他の法定外福利費

296円

引用:令和3年就労条件総合調査の概況「第19表常用労働者1人1か月平均法定福利費」| 厚生労働省

法定外福利費は、1996年のピーク時と比較すると近年減少傾向にあったが、2018年からは増加傾向に転じており、医療や食事、住居に関する費用の構成割合が増加しています。

福利厚生がワークライフバランスへ寄与することへの期待から、人材のつなぎ止めやモチベーション向上の一助として福利厚生が着目されていると推察されます。
参照:厚生労働白書:31法定外福利費の推移/法定外福利費の内訳の推移 | 厚生労働省

法定外福利費は住宅に関する費用が平均で50%以上を占める

2021年(令和3年)度の法定外福利費における「住居に関する費用」は51.4%(2,509円)です。2016年(平成28年)度調査の結果では47.3%であり、住宅に関する法定外福利費が増加傾向にあると言えます。

また、住宅に関する費用は、企業の従業員規模によって支払う費用の割合に差ができています。具体的には、従業員300人までの中小企業では40.3%なのに対して、1000人以上の大企業では70.5%を占めています。

これは、従業員規模が大きい会社は、社員に対して寮や社宅などを用意する傾向があることが関係していると推察されます。一方で、中小企業は、社宅や家賃補助を用意していないケースが多いため住宅に関する費用が減少しています。

なお、福利厚生の家賃補助については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生の家賃補助の費用相場や支給する対象と条件を解説

中小企業は食事と医療保険の平均額が多くなる傾向がある

中小企業では、食事や医療保険に関する法定外福利費が多くなる傾向があります。

法定外福利費は減少傾向にありますが、働く人の健康意欲の高まりから、社員の健康管理をサポートする福利厚生を導入する会社が増えていると推察されます。

また、医療保険や食事などの健康に関連する福利厚生は、従業員が求める割合が多い福利厚生です。実際に、厚生労働白書では、「人間ドックの受診補助」や「治療と仕事の両立支援」などが必要だと感じる福利厚生の施策として挙がっています。

なお、社員の食事代金を補助する場合は、福利厚生費にできる場合とできない場合があります。

福利厚生とランチについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生でランチをサポートするなら?食事支給と費用補助を解説

3.中小企業で平均的に導入される福利厚生制度や施策

中小企業で平均的に導入される福利厚生と言えるのは、導入率の高い制度や施策です。

次の表は、2021年(令和3年)度の調査による中小企業における福利厚生制度・施策の導入率を示します。

福利厚生

導入率

住宅手当

46.0%

食堂・昼食補助

23.5%

育児休業

72.4%

介護休業

50.2%

慶弔休暇

87.7%

慶弔見舞金

86.0%

永年勤続表彰

47.6%

社員旅行

43.2%

財形貯蓄

32.5%

その他

7.9%

特にない

1.6%

引用:令和3年度中小企業実態調査委託費 中小企業の経営力及び組織に関する調査研究 報告書(PDF) 「5.人事評価制度、給与体系、福利厚生施策」③福利厚生施策(1)実施している福利厚生施策 p.61|中小企業庁

「慶弔見舞金制度」や「退職金制度」は、大手企業でも導入事例が多い福利厚生のため、中小企業でも法定外の福利厚生として取り入れられる傾向が多い制度です。

一方で、業種や業界などが原因で導入が困難な「業界特性の強い」とされる福利厚生制度もあります。

例えば、リモートワーク制度は、IT関連企業などを中心に平均的に取り入れられている福利厚生と推測されますが、「従業員がその場にいて対応する」ことが重視される医療や教育、介護などの業界では取り入れづらい傾向があり、調査対象に上がらないほど全体での導入率が低いと推定されます。

中小企業の福利厚生については次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生が充実している中小企業とは?福利厚生のつくり方も解説

福利厚生の平均額を超えていても福利厚生が良い会社とは限らない

福利厚生費用の平均額を超えていても「福利厚生が良い会社」とは限りません。

従業員のニーズや社会情勢によっても判断基準が変わるからです。

そのため、福利厚生を用意する際は、企業が平均的に用意している制度ではなく、従業員ニーズや社会情勢を調査し、費用をどこにかけるか検討する必要があります。

例えば、働き方に多様性を持たせるリモートワーク制度や短時間勤務制度など、直接的に福利厚生費に計上されないものの、導入・管理などの費用がかかる制度が従業員に支持される場合もあります。

福利厚生を検討する際は、既存の制度の見直しやアンケートなどを用いて、従業員のニーズを調査し、自社に必要なものを選択するようにしましょう。

なお、福利厚生の見直しについては次のコンテンツで詳しく解説しています。
福利厚生の見直しはどう行う?時期とやり方について解説

また、福利厚生が良い会社については次のコンテンツをご確認ください。
福利厚生が良い会社とは?特徴や制度を解説

(執筆 株式会社SoLabo)

生22-6464,法人開拓戦略室

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